市場規模が1兆円にもなるコンサルティング業界には、外資系の総合コンサルティング会社もあれば、中小企業向けに経営支援を行う日系のコンサルティング会社もあります。
コンサルティング会社には、総合系や戦略系、そしてIT系コンサルティング会社などいろいろあって、一口に説明ができるものではありません。ここでは、コンサルティング会社を様々な視点から分類しながら、それぞれのコンサルティング会社の特徴について、整理していきましょう。
そもそもコンサルティング会社とは?
コンサルティング会社とは、「クライアント企業が抱える問題について相談に乗り、解決策を提案する」ことを生業にしている組織のことです。企業が抱える問題は多種多様であり、それらの問題の解決を提案していくコンサルティング会社にも、いろいろな種類の会社が存在しています。
コンサルティング会社とコンサルティングファームの違い
例えば、ローファーム(law firm)とは法律事務所のことですが、英語でロー(law)は法律、ファーム(firm)は会社や企業の意味です。弁護士が多数在籍している大規模な組織を持つ法律事務所を、ローファームと呼びます。ちなみに、小規模な法律事務所(law office)は、ローファームとは言いません。
これと同じように、多くのコンサルタントを抱える大きな組織であるコンサルティング会社のことを、コンサルティングファーム(consulting firm)と呼んでいます。コンサルティングファームもコンサルティング会社に違いありません。逆に、中小規模のコンサルティング会社(consulting company)のことを、コンサルティングファームと言うのは不自然です。しかし、コンサルティング会社と称するか、コンサルティングファームと称するかに明確な基準があるわけではありません。
コンサル業界におけるBIG4とは?
世界的に大きな組織規模を誇るBIG4と呼ばれているコンサルティングファームが4社あります。いずれも監査法人がベースで、監査法人のグループとしてコンサルティングファームも展開しています。
世界四大監査法人と呼ばれているのは、「デロイト」「PwC」「KPMG」「EY」で、監査法人に限らず、巨大な組織を持つ会計事務所グループ(監査・税務・法務・コンサルなどを含む)として、Big4と呼ばれています。
さらに、この会計事務所のBig4にならって、以下の4社をコンサルティング業界のBig4と呼んでいます。
・デロイト トーマツ コンサルティング
・PwCコンサルティング
・KPMGコンサルティング
・EYストラテジー・アンド・コンサルティング
BIG4と総合コンサルティングファームアクセンチュアとの違いは?
Big4は、もともと監査法人であり会計事務所でしたが、監査や税務だけでなく、法務やコンサル等と業務範囲を広げ、今では総合系コンサルティングファームとなっています。また、Big4にも勝るとも劣らない総合系コンサルティングファームにアクセンチュアがあります。
アクセンチュアもBig4同様、アーサー・アンダーセン という会計事務所を前身とした総合系コンサルティングファームです。ただアクセンチュアは、積極的にITやデジタルなどのテクノロジーを取り入れたコンサルを展開し、会計に限らず、ITやデジタルに強い総合系コンサルティングファームとなっていて、その点、会計系コンサルの色が濃いBig4とは違います。
外資系と日本国内のコンサルティング会社の違い
経営コンサルや戦略コンサルなどのコンサルティングサービスはアメリカ発祥のサービスであり、アメリカのコンサルティングファームが日本進出をし、日本にもコンサルサービスが普及しました。現在でも、主な経営戦略コンサルティングファームのほとんどが外資系です。
一方で、日本国内では元々リサーチを中心に事業展開をしていたシンクタンク系企業がコンサルティング事業も手がけるようになりました。同時に、中小企業をテーゲットにしたコンサルティング会社も出現しました。
主要な外資系コンサルティング会社と国内コンサルティング会社
Big4やアクセンチュアはすべて外資系コンサルティング会社ですが、他にも、マッキンゼー・アンド・カンパニー(McK)、ベイン・アンド・カンパニー(Bain)、ボストン コンサルティング グループ(BCG)など、外資系ビックファームは多く存在します。
日本では、リサーチをベースにコンサルティング業を展開してきたシンクタンク系コンサルティング会社が特徴的だと言えます。そのなかでも代表的な会社は、日本総合研究所(JRI)、野村総合研究所(NRI)、三菱総合研究所(MRI)などです。他にも日系の総合戦略系コンサルティング会社として、ドリームインキュベータ(DI)、アビームコンサルティング、ベイカレント・コンサルティングなどがあります。
グローバル化を積極的にすすめるコンサルティング会社
経済のグローバル化は世界の潮流だといっても過言ではありません。グローバル化と言えば、日本市場以外にも海外マーケットでのシェアを拡大したり、グローバル人材を積極的に採用したりと、色々な取り組みがなされています。外資系のコンサルファームは、もともとグローバル化を前提に、日本へ進出してきた経緯があり、グローバル化を推進する日系企業を積極的に支援しています。
職能ごとにコンサルティング会社を整理

ここまでは主にコンサルタントの特徴を見てきましたが、ここではコンサルタントの職能に焦点を当てて、どんなコンサルティングが存在しているのかを見ていきます。
有資格者が必須な会計系・不動産系コンサルティング会社
Big4はもともと監査法人でしたが、会計系のコンサルファームでは、公認会計士の有資格者を中心にプロジェクトを組成しコンサルティング業務を行います。プロジェクトには、弁護士や中小企業診断士などの資格を持った人材も登用されることもあります。
また、不動産デベロッパー系の会社もコンサルティング業を展開していますが、宅地建物取引主任者や不動産鑑定士の資格があることで優遇される可能性があります。不動産コンサルティングマスターも重宝される資格となっています。
IT系のコンサルティング会社
ITコンサルタントとして有用な資格としては、ITコーディネータ、ITストラテジスト試験、プロジェクトマネージャ試験(情報処理技術者試験)、PMPなどがあります。また、IT技術や知見を武器にコンサルティング業務を展開している会社には、シグマクシス、ガートナー ジャパン、フューチャーアーキテクトなどがあります。
人事系のコンサルティング会社
人事や組織のコンサルタントにとって役立つ資格に、産業カウンセラー、社会保険労務士、中小企業診断士などがあります。また、人事系コンサルティング会社には、マーサー ジャパン、リンクアンドモチベーション(LMI)などがあります。
クライアントの規模によってコンサルティング会社も違う
クライアントが大企業か中小企業かによって、コンサルティング会社が対応できるかどうかが分かれます。その違いについて説明します。
大規模クライアント向けのコンサルティング会社
例えばアクセンチュアの場合、世界中の大手企業や政府機関をクライアントとしていて、フォーチュン100社のうちの94社、同500社の80%以上の企業がアクセンチュアのクライアントとなっています。アクセンチュアのように、大手外資系コンサルティングファームは、中小企業をクライアントとすることはまずなく、大手企業相手にコンサルティング業務を展開しています。
中小規模クライアント向けのコンサルティング会社
中小企業向けのコンサル市場には、外資系コンサルティングファームはほとんどが参入していません。従って、中小企業向けのコンサルティングサービスを提供している会社のほとんどは日系のコンサルティング会社です。中でも知名度の高いのが、船井総研、山田コンサルティング、タナベ経営などです。
クライアントの課題内容によりコンサルティング会社を分類

コンサル会社は、クライアントの課題や問題の解決を支援していく会社ですが、クライアントが抱える課題の分野はまちまちです。その分野に特化して、コンサルティングサービスを提供している会社があります。
経営戦略・事業戦略をコンサルティングする会社
経営戦略や事業戦略を得意とする会社は、Big4やアクセンチュアなどの外資系コンサルティング会社となり、この分野においては、外資系コンサルティングファームの独占市場だといっても過言ではありません。
業務改善・ITI化をコンサルティングする会社
業務改善やIT化の支援を得とするコンサル会社は、ベンダー系やIT系のコンサル会社になります。例えば、SAPジャパンや日本オラクルといったベンダー系、そして、ウルシステムズ、フューチャーアーキテクト、NTTデータなどのIT系のコンサル会社があります。
M&A戦略をコンサルティングする会社
M&Aや事業再生に特化したコンサル会社として挙げられるのが、アイファス、アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー、経営共創基盤、GCAホールディングス、日本M&Aセンターなどです。
まとめ
この記事では、コンサルティング会社について見てきました。いろいろな会社名が出てきましたが、ここでは詳細な説明がなされているわけではありません。もっと詳しく知りたいという方は、それぞれのコンサルティング会社について、個別に調べてみてください。
参考サイト:
https://factlogic.jp/list-of-major-firms/
https://www.movin.co.jp/column/column1.html