ITコンサルタントが副業をするためにおさえておたいこと

サラリーマンが給与以外の収入を得る方法として副業がありますが、最近では副業を許す会社も増え、副業への社会的な認知度も高まりつつあります。特に、ITコンサルタントとしての副業案件も増えていて、副業の第一歩を踏み出すチャンスは拡大しています。ITの技術やスキルがある人がITコンサルタントとして副業をしたり、これからITのスキルを身につけてITコンサルの道を切り開きたいと考えている人は、ぜひこの記事を参考にしていただきたいと思います。

ITコンサルの副業のメリット

 

企業にとって、ITコンサルタントを正社員として採用するには、適した人材がなかなか見つからない、見つかったとしても報酬が高く、企業の給与水準に見合わないなど、難しいことがたくさんあります。そこで、ITコンサルタントのスキルや経験をシェアすることができる副業人材の活用に前向きな企業も増えてきました。ここでは、起業側のメリットに対して、ITコンサルタントとして副業をすることのメリットについて、紹介していきます。

収入アップが狙える

IT系のコンサル案件は比較的単価が高いものが多いので、副業であっても収入アップが狙えます。実績や経験が少ない場合、低い単価でのスタートになるかもしれませんが、実績や経験を積めば報酬アップの交渉もできます。また、副業案件のマッチングサイトによっては、キャリアアドバイザーが企業とコンサルの仲介に立って、実績や貢献度により報酬アップの交渉をしてくれることもあります。このように、Itコンサルの副業の第一のメリットは収入アップが狙えるということです。

空き時間を有効に活用できる

副業の場合、本業の勤務時間以外で稼働せざるを得ないことを理解したうえで、発注者である企業もコンサル依頼をするので、土日祝日のみの稼働だけであったり、平日の夜数時間の稼働であったり、稼働時間の調整に応じてくれる案件も少なくありません。また、在宅からのリモートでのコンサルティングを許容する企業も増えてきています。従って、空き時間を有効に活用して、副業をすることも十分に可能です。

知見を増やしたり、スキルアップができる

副業をすることで、本業とは違う環境に関わることができ、そこで、視野を広げ、新しい知見を吸収したり、新たなスキルを身につけることができたりします。本業だけでなく、副業でも経験や実績を積み知見を増やしたり、スキルアップすることができれば、本業でのキャリアアップにもつながる可能性もあります。

独立に役立つ

ITコンサルの案件が多いからといって、脱サラしていきなり独立をすることには、集客がうまくいかない、集客ができても報酬単価が低く年収がサラリーマン時代よりも著しく減少するなど、リスクはつきものです。そこで、副業を経験してから独立することで、集客できないなどのリスクを回避することも考えられます。例えば、副業で実績を積み、クライアントからの信頼を得れば、独立後も継続して契約をもらうこともできるかもしれません。

また、副業でコンサルタントとしての実績を積むことで自信を持つことができれば、集客面でも大きな力となるはずです。

 

ITコンサルの副業のニーズが高まる背景

 

近年、システム導入コンサルティングやデータ活用などITコンサルタントの需要が高まっており、副業人材の登用も積極的になってきています。ここでは、ITコンサルの副業ニーズが高まっている背景について、説明します。

DX推進の動向や技術要求の複雑化

経済産業省はDXが進行しない場合、2025年以降、「1年あたり最大で12兆円」の損失を負うと言っています。DX推進は時代の潮流であり、政府だけでなく企業にとっても看過できない課題となっています。DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」を略した言葉です。DXでは、IoT(モノのインターネット化)などのデジタル技術をベースに新たなビジネスモデルを生み出したり、AIでビックデータを解析して得た分析情報を業務改善に役立てたりします。

技術要求は日々複雑化し、それに対応できる人材の需要は高まる一方で、DX推進で実績のあるITコンサルタントは引っ張りだこです。

IT人材の不足

ITコンサルティングの需要が高まっていく一方で、IT人材が絶対的に不足しています。2025年までに約43万人ものIT人材が不足するというレポートもあり、あるいは、2030年には最大約79万人のIT人材が不足するという調査もあるくらいです。現在すでに、コンサルティングファームやIT系企業にて、IT人材不足の傾向が顕著に現れてきており、加速する人材不足のリソースを補う手段として副業やフリーランスが注目を集めています。

副業を積極的に受け入れるビジネス環境の変化

昨今、IT人材向けに副業の案件を紹介するサービスが増えつつあります。また、政府も副業も多様な働き方のひとつとして推奨しており、副業を認める企業も増えてきています。ITコンサル人材だけに限りませんが、副業で働こうとする人も、副業案件を紹介するサービスのニーズもともに高くなっています。副業案件を獲得するために、IT人材向けエージェントサービスやクラウドソーシングサービスを利用するのもおすすめです。また、スポットコンサルのマッチングサービスの利用も検討してもいいかもしれません。スポットコンサルは単発で仕事ができ、拘束時間が短く、副業向けです。

▼関連記事▼
・コンサルティング業務委託契約書作成のポイントとは?印紙税についても解説

ITコンサルタントの副業の始め方

 

ここでは、ITコンサルタントとして副業を始める方法を紹介します。

コンサルに関わる経験を積む

ITコンサルタントで副業を行うためには、コンサルティングの実務経験があったほうがいいでしょう。しかし、コンサルティングの経験がなくても、PMとしてシステムの導入フェーズに関わったり、システムの要件定義をまとめたなどのシステム開発の上流工程の経験があれば、コンサルティングに挑戦することも可能です。

ただし、残念ながら、ITエンジニアであっても、プログラマーやテスターなど、設計フェーズの経験がない場合は、すぐにコンサルティングを行うのは敷居が高いかもしれません。その場合、要件定義やシステム基本設計などの上流工程にチャレンジするか、コンサルティングファームへの転職も検討してみましょう。ITコンサルタントになるためには、システム要件を理解するだけなく、ビジネス要件や経営課題を理解することが必要です。そのため、ITエンジニアの経験だけでは厳しく、事業や経営環境を俯瞰で見ることができるように、コンサルタントとしての経験を積むことが必要です。

また、コンサルタントとして具体的に必要な経験は、ヒアリングや分析、課題の洗い出し、資料作成、会議での説明などさまざまです。ITコンサルタントはクライアントに助言をしてシステム周りの業務がうまくいくように支援する立場です。従って、プログラミングを書くなど、自ら手を動かす必要はありませんが、いろいろな立場の人に説明をしたり、動いてもらったりするので、マネジメント経験が重視されます。

自分の実績とスキルを客観的に整理する

ITコンサルタントを必要としている企業は増加傾向にあり、それぞれ企業が抱えている課題は異なります。そこで、自分の実績やスキルをもって、自分がどのような課題解決に役立つのか、まずは自分自身の技術やスキル、経験を客観的に整理しましょう。そのうえで、自分の実績やスキルがどのような課題に対応可能かを企業に伝えるために、スキルシートもまとめておくといいでしょう。

自分に合った副業案件を獲得する

副業案件を獲得する方法としては、副業案件を取り扱う紹介サイトやエージェントサイトを利用するか、知人などの人脈を通して紹介してもらうなどが考えられます。ただしあくまでも副業なので、本業に影響のない範囲で案件を受けたいものです。そのためには、後で言った言わないともめたり、こんなはずではなかったと後悔したりしないために、契約前に稼働条件などのすり合わせをしっかり行うようにしましょう。

 

ITコンサルの副業案件の種類と報酬

ITコンサルといっても、いろいろな案件があります。ここではITコンサルの副業案件にどのような種類の仕事があるのか、また、どのような報酬の仕組みがあるのかについて、説明します。

ITコンサルの副業案件の種類

ITコンサルの仕事のフェーズを分けると、主に3つの段階になります。

  1. ヒアリングによる現状把握や現状分析
  2. 現状把握と現状分析にもとづく提案
  3. 提案にもとづく実行及びプロジェクトマネジメント

3番目の「実行及びプロジェクトマネジメント」は、クライアントの組織に入り込む必要もあれば、プロジェクト完了まで長い期間を要することが多いので、副業案件には向きません。一方、「ヒアリングや分析」並びに「提案」については、拘束される時間も見積りやすく、本業の隙間時間を利用しても対応が可能なケースが多いので、副業に向いた仕事のフェーズです。副業でITコンサルタントを始めるのであれば、「ヒアリングから提案まで」のフェーズの案件から挑戦してみるのがおすすめです。

ITコンサルの仕事の種類としては、まずは文字通りのコンサルティング業務があり、IT活用による業務改善やツールの導入及びベンダーコントロールなどについて、アドバイスをしたり支援したりします。

次に、ITを活用した組織づくりを支援するのも、副業でのITコンサルタントに向いている業務です。具体的には、ITシステム導入後の業務フローを整理したり、運用チームを作ったりします。これらの業務は、ITに無知な人には難しい業務と言えますが、そこを支援できるのが、ITコンサルタントです。

ITコンサルの副業案件の報酬体系

副業でのITコンサルタントの報酬体系は、「時間報酬型」と「固定報酬型」に分かれ、報酬額はおおむね以下の通りです。

「時間報酬型」では、コンサルティング業務にあたり、時間での報酬単価が決められ、従事した時間に応じて報酬が支払われます。また、「時間報酬型」でも、クラウドソーシングサービスとエージェントサービスでは相場の単価が異なります。

クラウドソーシングサービスでの案件は、1時間1,000〜1,500円という案件が多く、エージェントサービスでは、スポット案件も多く、1時間5,000円から、1時間10,000〜30,000円や20,000〜70,000円などの案件もあります。

次に、「固定報酬型」では、プロジェクトごとに単価が決められます。また、固定報酬型の単価目安は、1案件につき15〜20時間の稼働で、10〜30万円程度です。

 

ITコンサルタントが副業をする際の注意点

 

ここではITコンサルタントが副業する際の注意点について解説します。

副業についての本業の社内規定を確認する

副業をする場合、副業することを本業の会社に事前に伝えたほうがいいでしょう。その際、副業が認められているのか、副業が認められているのであれば、どこまでの業務が認められているのかを、あらかじめ確認しておきます。また、禁止事項などはあるかも確認しておく必要があります。直接人事に問い合わせるか、就業規則などの社内規定の内容をチェックすることで、確認できるでしょう。

利益相反や守秘義務に違反しないように注意する

副業では本業の会社との利益相反がないように注意します。例えば同業他社に対して、本業のノウハウを提供したり、本業の会社の立場を利用して特別に報酬を得れば利益相反になる可能性があります。また、勤め先に副業をすることを隠していて、トラブルに発展するケースもあるので、副業について報告義務がある場合は特に、報告を怠ることのないよう気を付けましょう。

また、コンサルタントの場合、情報のセキュリティには注意を払う必要があります。守秘義務を守って仕事の内容を、第三者等に他言しないことはもちろんですが、セキュリティ対策も重要です。プライベートのパソコンを使って副業をしていて、そのパソコンにセキュリティホールがあり、情報が漏洩されれば、たとえ情報漏洩が故意でなくても、損害賠償に問われることもあるので、注意が必要です。

時間管理をしっかり行う

副業は、本業との時間のバランスをどうとるかが重要です。とにかく稼ぎたいからと、副業案件を多く受けすぎてしまい、自分のキャパを超えて、本業も副業もどちらも中途半端になったら本末転倒です。副業も本業もともに真剣に取り組むことは素晴らしいことですが、スケジュール管理がうまくいかず、信用を失墜しても面白くありません。健康管理も含め、時間管理はしっかり行いましょう。

副業の収入が20万円を超えたら確定申告をする

副業での収入が、1月1日から起算して、12月31日までの1年間で20万円以上あった場合、確定申告をしなければなりません。確定申告のタイミングは、収入を得た翌年の2月16日から3月15日(曜日により前後あり)で、この申告期間内に管轄の税務署で確定申告しましょう。なお、1年間で20万円以上の収入があったにも関わらず、確定申告しなかった場合は、無申告加算税などのペナルティもあるので注意をしましょう。

 

まとめ

IT技術の急速な変化にともない、IT人材の不足が顕著です。これを背景にITコンサルタントの副業案件も増える傾向にあります。スキルや条件が見合えば、ITコンサルタントとして副業ができます。副業のメリットも大きいですが、当然メリットもあれば注意点もあります。この記事を参考にして、ぜひITコンサルの副業で着実に実績を積んでみてください。

▼関連記事▼
コンサルティング会社と事業会社の違いを整理