コンサルタントの仕事は長く女性には不利な仕事だとされてきました。
その理由は高いレスポンス能力が求められるコンサルタントの仕事は、成果にたどり着く時間は短いほど評価されます。
瞬発力が求められる仕事は体力的にも精神的にもタフさが必要であり、出産などライフイベントの際に柔軟な働き方ができるようなバックアップ体制の整備が遅れていたことは否めません。
しかし現代では働き方改革も進み、女性が成長戦略の中核だとされている中でコンサルティング業界でも女性の働きやすい環境が整ってきています。
多くのコンサルティング企業で女性コンサルタントの育成とキャリアアップが進み、女性のライフイベントに応じたバックアップ体制の充実に取り組まれています。
この記事では劇的に変化し、活躍の場が広がっている女性コンサルタントについて説明します。
女性コンサルタントは注目されている
男性が中心となって活躍していた時期が長いコンサルタントの業界では、女性ならではの目線や感性、物腰は注目され大きな武器になります。
特に女性の持つ消費者感覚は一般的に男性よりも鋭い傾向があり、消費財に関するプロジェクトでは女性の感覚が大きなカギになります。
また結婚、出産、育児などのライフイベントに関する分野において、女性の感覚は重要です。
女性として感じる不便や不満、不公平感は、その解決を目指す企業やプロジェクトの中で大きな問題提起となり、社会課題の解決に貢献できるのです。
<h3> コンサルタントの男女比はどのくらいか</h3>
コンサルタントの男女比は会社によって異なりますが、一般的に女性コンサルタントの割合は全体の1~2%だと言われています。
決して高い比率ではありませんが、総務省発表の「就業構造基本調査」によると、大企業の正社員に占める女性比率は2007年で22%程度とされているので、特別低い数字とも言えません。
データが少し古いので、現在はもう少し男女比の改善が進んでいると思われますが、一般的にまだまだ男性が多い環境であることは間違いないでしょう。
高い専門性で実力勝負
コンサルタントは何よりも論理的な思考力が求められ、それは研修や実際の業務のなかで磨かれます。
また、自分がコンサルする相手や業界についての知識が深まります。
実際にコンサルタントとしての成果を発揮するには高いプロジェクトマネジメント力が求められます。
コンサルタントの仕事はビジネススキルを高い水準かつ短時間に身に着けることができる仕事です。
これはライフイベントによって一時的に業務から離れる可能性が高い女性にとって、復帰・転職の際に有利になる要素となります。
企業にとって、即戦力として専門性の高いスキルをもつ人材の確保は重要です。
コンサルタント経験を持つ女性には、多くの活躍の場が広がってきています。
女性コンサル、待遇はどうか
コンサルティングに限りませんが、実力と結果主義の会社が増えている現代で、女性だからという理由で待遇や給与が低くなることは許されません。
男女の区別なく、同じ土俵で一人のプロフェッショナルとして業務を進めていくこととなります。
女性でも男性でも結果を出すことで活躍の場が広がります。
女性コンサル制度はどうか
昨今のコンサルティングの業界ではワークスタイルに関する柔軟性を高める動きがあり、メリハリのある勤務体制を実現しています。
コンサルティングの仕事は定常的な業務ではないため、日々のルーティンをこなす様な仕事ではありません。
そのため一日のフルタイムで出社する必要も少なく、短時間ごとに仕事をカバーしあうこともできるので、「保育園のお迎え時間」に合わせた働き方も可能です。
「お子さんの急な発熱」などプライベートで突発的なトラブルが発生した時でも柔軟に対応することが可能です。
また、スタッフが充実している大手コンサルティングファームでは、仕事はプロジェクト単位で割り振られ、シングルアサインすることが一般的です。
したがって、プロジェクト単位でのスケジュール管理が可能になり、プロジェクトとプロジェクトの間に長い休暇を入れ込むことも可能です。
一週間単位の休暇を申請することもでき、その間に海外旅行をしたり趣味に没頭することができます。
絶え間なく業務が発生する業界の企業では実現が難しい制度を利用することで、メリハリのある働き方や自分のスキルアップにつながります。
女性コンサルタントの活躍
女性が躍進している現代でロールモデルとなる
女性の働き方や、活躍の仕方は注目を集めるトピックです。
女性コンサルタントとして活躍する姿は、現代のロールモデルとなり得ることでしょう。
子育てをしながらコンサルティングをしている働き方や、それを支える企業の制度やマインドは、自分の働き方を模索している女性にキャリア形成をイメージさせることができます。
「産休を取得する」「こどもの送り迎えで時間の制限がある」など、個々の事情を考慮して業務カレンダーを作成するには、当然男性社員の理解も必要です。
そのためにも女性コンサルティングとしてライフイベントをこなしながら活躍してきたというロールモデルは大きな意味があるのです。
IT系コンサルでは女性ならではの柔らかさが武器になる
スマートフォンのアプリなど、多くの人が触れる身近なIT技術において女性の視点や感覚はとても大切です。
アプリを使用した時の感覚やプログラムの挙動など、多くの人に好感を持たれる要素を実現するには、必要機能にプラスしたキャッチーさが重要です。
男性だけでは気づきにくいポイントを指摘できる女性コンサルティングにとって、意見が取り入れられやすい絶好の活躍の場と言えるでしょう。
コンサルは週3・時短と相性が良く、ママになっても活躍し続けられる
かつては男性主導だったコンサルティング業界も女性の進出と活躍により、どんどん女性の働きやすい環境が整ってきています。
ファミリーマネジメントの理解も進み、育児休暇に関しては女性だけでなく、男性の取得も珍しくありません。
コンサルティングという仕事はルーティンではなくプロジェクト単位で動く仕事ですので、時間管理は個人のレベルで設定できます。
したがって、時短勤務や日時指定の勤務などが実現しやすく、実際に育児制度として確立されている企業もたくさんあります。
まだお子さんが小さなママさんコンサルタントでも働きやすい環境を実現できる仕組みが作りやすいこともコンサルティングという仕事の魅力なのです。
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女性がコンサルタントになるには
コンサルタントにはマインドが大事
コンサルタントには高い職業倫理感や強い責任感が要求されます。
これに関して男性や女性の違いはありません。
コンサルタントという仕事に関わる人全てに求められるプロフェッショナルとしてのマインドです。
コンサルタントという仕事の成果は、要求された仕事をただこなすだけでは達成できない、相手の期待を超える「付加価値」であり、その付加価値を継続して生みだすことを求められます。
その実現には、常に自分の中に高い価値観と高い基準点を持ち、クライアントの成功に向けて、徹底的な没入感でプロジェクトに関わる意識が必要です。
過去の経験スキルを活かす
コンサルタントという仕事ではクライアントが属する業界の専門的な知識や経験、スキルが求められます。
自分の持つ経験やスキル、ノウハウに基づいた、より実践的で現実的なコンサルティングが実現できるからです。
自分自身の持つオリジナルな経験やノウハウは絶対的な財産であり、中には美容や料理といった比較的女性向けの商品や業界のクライアントに関わることもあります。
女性として女性顧客が多い業界で活躍していた視点や感覚は圧倒的なアドバンテージであり、そこにコンサルティングの知識・技術が掛け合わさることで他人に真似できない価値が生まれます。
自分だけの持つ経験というスキルを活かすことを考えてみましょう。
コンサルに必要な資格・スキル
コンサルタントとして働くことに必要な資格は特にありません。
しかし、コンサルティングの仕事はクライアントとの信頼関係の上で成り立ち、そのためにはクライアントが納得するだけのスキルや実績が必要です。
コンサルタントに転職した人であれば、自分が今までどのような業界で働き、何を見て感じ実行し、どのような成果を産みだしてきたのか。
新卒としてコンサルティング企業に就職した人であれば、自分の得意なこと、詳しいこと、今まで取り組んできたことは何か。
コンサルティングの担当者としてクライアントに話せる武器は常に用意し、日々アップグレードしていきましょう。
コンサルに向いている女性はどんな人?
コンサルタントに向いている人の特徴の一つに論理的思考力が高いというポイントがあります。
論理的思考能力とは問題解決能力とも言い換えることができます。
コンサルティングの成果はクライアントの問題解決です。
現状から正しく課題点・問題点を読み解き、筋道を立てて解決していくことが仕事内容になります。
そのためにクライアントから常にプレッシャーがかかり、様々な調整を行うことで人間関係も複雑になる傾向があります。
肉体的にも精神的も強い負荷がかかる中で、自分の成長を感じられるほどの精神力が必要なのもまたコンサルタントの適性と言えるでしょう。
女性がコンサルティング業を行う具体的方法
コンサルティングファームに就職する
コンサルタントとして働くとしたら一番に考える就職先と言えます。
国内コンサルティングファームのみではなく、外資系のコンサルティングファームを含めて広く活躍の場として検討しましょう。
特に女性の場合は各ファームの就労制度、ライフマネジメント制度については重要な検討項目に設定することをおすすめします。
働き方改革や女性の進出によって、コンサルティング業界でも女性が働きやすい環境が整ってきていることは確かですが、それでもまだまだ男性主体の体育会系なファームは根強く残っています。
気力で乗り切ることのできる若いうちに、あえて厳しい環境に飛び込むことも修行になるかも知れませんが、長く働ける環境ではありません。
厳しい環境ならではの経験を摘みながら、自分にとって理想に近いライフワークバランスが実現できるコンサルティングファームを探すことが結果的に長くコンサルタントの仕事を続けることができるのです。
税理士事務所などに就職する
コンサルタントとして税理や財務などのお金の分野に強くなりたいのであれば、税理士事務所で経験を積むこともおすすめです。
特に中小・零細企業においては、財政状況を的確に把握し、信頼できる税理士に経営面でコンサルをお願いしたいというニーズが高まっています。
現在、中小・零細企業の多くは、事業再生や資金繰り、事業継承など経営面における課題を抱えています。
しかし今の日本では、経営支援が十分に行き届いておらず、それぞれの企業がコンサルタントを頼っている現状があります。
中小企業の経営支援はこれまでも地場の税理士にお願いしていることが多くあります。
とは言え、税理のプロであっても経営支援まで十分に行えているとは限りません。
しかしながら、専門の経営コンサルタントにかかろうとすると依頼費用の負担は中小・零細企業にとってかなり大きなものになります。
このような問題をかかえる中小・零細企業にとって、税理士がトータル的に財務・経営を全般的にサポートしてくれるならば、これほど有り難いことはありません。
パートナーとして経営コンサルティングをお願いしたいというニーズは日々高まっています。
個人でコンサルを行う
コンサルティングファームで実績を積んだ後、個人コンサルとして独立することも活躍するための選択肢です。
個人ならではのスケール感で行うことができるコンサルティングにもニーズはあり、コストメリットも魅力です。
また、個人で事業を行うので働き方は自分次第です。ライフイベントにあわせた自分らしい働き方は特に女性にとってメリットが大きく、おすすめの働き方です。
更なるスキルアップのためオンライン講座を受講する
オンライン上では日々、コンサルタントとしてのスキルアップやマインドセットにつながる講座が紹介され開かれています。
企業や個人が自分たちの持つノウハウを公開し、業界としてのレベルアップも強まっています。
セミナー型、ワーク型など手法を凝らした講座もあり、数ある講座の中から自分に必要なスキルアップに繋がるものを選べば、活きた知識が得られるかもしれません。
自分の持つスキルをブーストするのか、知識補強、サイドスキルのレベルアップなど目的意識を持って受講してみましょう。
まとめ
クライアントからのコンサル依頼が急増する中で、コンサルティングファームは採用基準を大きく広げています。
今まで対象にしていなかった年齢層、学歴、職歴の候補者も、積極的に採用して幅広いニーズに対応できるようにしています。
とくに、女性の比率が男性より少なかったファームでは、様々なジャンルのクライアントへの多角的な提案と実行支援のために、積極的に女性を採用し、育成に力を入れています。
未経験者からコンサルタントになる方へのトレーニングも充実しています。
女性にとって、今の時代はコンサルタントになる絶好のチャンスです。
働き方が見直されジェンダーについて注目が高まる中、女性だから、男性だからという言い方は確かにナンセンスです。
しかし、現在の社会ではまだまだ女性のほうが、キャリア形成にライフイベントの影響を受けやすいことも事実です。
キャリア形成上の不安や悩みが多い女性にとって、コンサルタントとしての経験は、キャリア形成にとって大変心強いものとなるでしょう。
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